2016年9月7日水曜日

第4回 全国青税理事会in大阪

旅が苦手だ。

なぜ苦手なのか考えてみたが明確な答えがあるわけではない。
しいて言うなら旅という非日常の後に訪れる「変わらず冴えない日常」が嫌いなのだと思う。

だから旅をなるべく非日常にしないように、ホテルにっていつものように読書に耽ったりするのが僕の旅における時間の過ごし方になる。

旅先の名所旧跡を訪ねたり、地元の名産物に舌鼓を打ったりすれば確かに楽しい、嬉しい。
非日常に耽溺して日常を忘れるというのが「正しい」旅のあり方なんだろう。
でもその後に訪れる「現実」にどう向き合えばいいのか。
虚脱感をともなう祭りの後の得も言われぬ寂しさ。感情の揺り戻し。
こんな気持ちになるなら非日常なんていらないとさえ思っていた。

しかし齢40となり、少しずつ考えが変わってきた。
旅を日常の延長線上としてとらえ、そこにある小さな発見を旅の楽しみとすればいいのではないか。

そもそも日ごろの生活、あるいは人生でさえも旅のようなものじゃないか。
かの俳人が大昔に「月日は百代の過客」とのたまった意味が少し分かってきたのかもしれない。

9月4日、全青理事会に参加するため大阪に行った。

少し早く目的地に着いた僕は会場の建物内にある無印良品をあてもなくブラブラしていた。
通常、無印良品には衣類や食品、生活雑貨等が陳列されているが、その店舗にはそれらに加えて小さな書籍の販売コーナーがあった。

品揃えの豊富さを競う大型書店とは違い、無印良品というブランドのコンセプトに共鳴するかのような書籍が小規模ながら魅力的に配列されている。
個々の本が互いに作用し、総体としての本棚がこちらに語り掛けるような、そんな素敵なディスプレイ。
本の中には大阪にちなんだものも少なからずあった。それらに目を通すうちに、かの地を様々な視点からとらえることができ、もっと知りたいと思えた。

短い時間ながら本との会話を堪能し、気になったものを数冊手に取ってレジに並んだ。




無印良品という日本中に存在する店舗であるにもかかわらず、大阪に来たからこそ思わぬ出会いがある。
おそらく多くの人にとってはあまりに当たり前のことなんだろうけど、そんな当たり前のことに今さらながら気づけたことは自分にとって大きな衝撃だった。(A)

青税の卒業も近づき、全青の理事会に出席できる機会も数えるほどになった。
これからはもう少し旅を前向きにとらえてみよう。
旅先で無理に楽しみを見つけようとしなくていい。たださすらうことを目的に、ちょっとだけ積極的に外の世界に出てみようと思った。

「さすらいもしないでこのまま死なねえぞ」

全青税委員長 小林弘隆



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【問1】次の下線部の漢字の読み方を答えなさい
  ①ホテルにって ①非日常に耽溺して ②「月日は百代の過客

【問2】下線部(A)について、筆者にとって何が大きな衝撃だったのか。その説明として適しているものを選びなさい。
 ア) 無印良品は全国にあるにもかかわらず、大阪にちなんだものが少なからず陳列されていたこと。
 イ) 無印良品に購入した月刊ビルには美しいビルの写真がたくさん掲載されていたこと。
 ウ) 大阪にちなんだ本に目を通すことで、大阪の地を様々な視点からとらえることができ、もっと知りたいと思えたこと。
 エ) 旅を日常の延長線上としてとらえ、そこにある小さな発見を旅の楽しみとすればよいことに気付いたこと。

【問3】本文に題名をつけるとした場合に適しているものを選びなさい。
 ア) 第4回全国青税理事会in大阪
 イ) 無印良品の本
 ウ) 旅はさすらい
 エ) で、理事会はどうだったの?