判例等研究委員会、委員の山本です。
11月16日(木)、冷たい風が吹く名古屋国際センタービル4階研修室にて判例等研究委員会の研修会が行われました。
10月14日の名城大学との税法ディベート大会を圧勝にて終えたのち、委員会が行うもう一つの行事として昨年からこの研修会が行われています。
今回も太田会長のご挨拶からスタート。
続いて森田委員長から導入部分として、判例等研究委員会の活動紹介が行われました。
短期決戦で集中的に議論するのがこの委員会の魅力ですね。
今年度の委員会は2つの判例を扱いました。
一つ目の判例は、東京高判平成23年9月21日訟月58巻6号2513頁、遺産分割審判の手続中、遺産の不動産について家庭裁判所の命令により換価分割がなされたが、当該換価分割による換価代金を、具体的相続分(特別受益)の計算の結果取得しなかった相続人にも法定相続分に応じた譲渡所得課税を肯定した事案です。
森田委員長から事案の説明があり、ディベートのメンバーから立論を作成したときの考え方や今の結論に至る経緯の説明がありました。実際にお金をもらってないのに課税されてしまった納税者、実質所得者課税の原則を持ち出すなどして課税は違法だと主張します。課税庁側は暦年課税とか権利確定主義などを持ちだして主張します。想定問答の準備なども紹介され、一つの判例について深く深く検討されたことが伝わります。
メンバーが入れ替わり、二つ目の判例の解説へ。
最判平成27年10月8日判タ1419号72頁、組合の理事が組合から受けた多額の債務免除益が給与所得に該当すると判断し、債務免除を行った組合に源泉所得税課税を求めた事案です。こちらは実際には源泉徴収義務が問題となった事案ですが、名城大学とのディベートでは給与所得に該当するか否かというポイントに絞ってディベートが行われました。その関係でまずは給与所得に該当するかの検討から入ります。
野島委員が声高らかに事案の説明を行い、なんとなく事実関係を把握したところで各立論担当から立論作成の説明がありました。給与所得と呼ぶにはどんな要素が必要か、使用者の指揮命令に服して提供した労務かどうか(従属的労務性)、人的役務提供の対価としてうけとったものか(労務対価性)、という論点に整理して事例を当てはめています。
それぞれの判例でディベート大会の時には大学側とのルール調整により扱わない論点もありますが、今日の研修会ではそういった論点にも触れることができ、委員にとってもディベートの制限に縛られず自由な議論ができました。名城大学の対戦相手という役回りもありますが、やはりこの研修会のように、実務家として事案の全体をモノにするという機会があるとよいですね。
1時間半、みっちり判例について考える時間となりました。
委員の皆さん、ありがとうございました。そしてお疲れ様でした。
あ、私も委員でした。お疲れ様でした。
さて、委員会の活動がこれでひと段落したので、遅い時間からですが打ち上げを行いました。
今日、11月16日は何の日?
そうそう、偶然にもボジョレー・ヌーヴォーの解禁日でした。
名古屋駅近くのワインバーで早速ボジョレーを。
今年のボジョレーは悪天候と猛暑のおかげで希少かつ芳醇な味わいだとか・・・ってグーグル先生のお話。
とりあえずビールその他で乾杯!
ボジョレーも楽しみつつ、委員会立ち上げからこれまでを振り返り、また来年へ向けて抱負を語りあいました。
よく冷える11月中旬の夜、委員たちの2017判例等研究委員会が幕を閉じます。
少し寂しいですね。
委員の皆様、来年も名青税の様々なところで今回得た知識や経験や仲間との関係を活かしてご活躍ください。本当にお疲れ様でした。
あ、私も委員でした。お疲れ様でした。
ご興味を持っていただいた方、来年もきっと判例等研究委員会があると思います。ぜひ参加してみてください。
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